音楽の途中で、アデルはゆっくりと人の輪から外れていく。
それは余りにも自然な動作で、完全に輪から外れるまで、ルイはアデルに誘導されていることに気付けなかった。
「え?アデルさん、どこへ……?」
「いいから」
困惑するルイに構わず、アデルは重ねていた手を解き重い扉を押し開けた。
腰に回していた手で背中を押すように会場を後にした。
扉を閉めると、優美な音楽が背後でぷつりと切れた。
等間隔に設置された明かりが、ぽつぽつと真っ暗な廊下を照らす。
煌びやかな会場とは一転、外に出ると暗闇が静かに辺りを包んでいた。
