胸を痛めるのは、アデルが自分をエルクに重ねて、辛さを共感してしまったから。 アデルは、変わった。 それは人間としていい方向に。 「すま、ない……」 謝罪など無意味だとわかっていながらも、エルクは弱々しく呟いた。 好きな人を他の男に取られる。 そんな思いを、アデルにまでしてほしくはない。 だから、エルクは声を絞りだす。 「お前は、幸せに、なるんだ」 ルイの手を、掴んで離すな。 その言葉にアデルは目を丸くすると、困ったように眉を潜めて「はい」と頷いた。