エルクの弱り切った姿に、アデルは全てを悟った。

アデルは自分の予想が当たってしまったことを、恨めしく思う。
そして、軽々しく大丈夫だと思ってしまった自分を呪う。

(俺だってルイが他の男のものになったとしたら、すぐに切り替えられんだろうに……)

浅はかだったと思う。
今までの本気の恋など知らぬアデルではなく、今は心から欲する人がいるのだ。
その人が手に入らないことを考えれば、これほど絶望的なことはない。
それこそまさに、世界の終わりだと嘆いても大袈裟ではないのだ。

「っ……!」

アデルは腕を掴むエルクの手を取ると、そのまま自分の腕の中に閉じ込めた。
ひどく乱暴な動作に、エルクは目を見開く。
そして、アデルには全て見透かされているのだと気付いた。