「なら、ライラのお心遣いに甘えてルイを部屋に連れ込ませてもらうことにしよう」

「!」

ライラは弾かれたように、アデルを見上げた。
目を丸くし、眉間のしわを深くしたライラは、わなわなと唇を震わせる。
口角を軽く吊り上げ、アデルは涼しい笑みを浮かべた。

「……今夜は、部屋で寝る」

「そうだな。それがいい」

最終的に、アデルの勝利だった。

そして、アデルはエルクに意識を向けた。
どこか疲れているように見えるのは気のせいではないだろう。
アデルはライラに視線で、どこかへ行くように促した。
ライラはすんなりと了承し、何も言わずに立ち去ってしまう。

「あ、ライラ……」

「ライラは今夜部屋で寝るために、今からやることをやるつもりのようですよ」

冗談めいた口調で言うと、アデルはにっこりと微笑んだ。

「どうしたんですか?」

何かがあったことは、すでにアデルの中で確定していた。
そしてその何かも、うっすらとだが推測出来た。