(俺もイアンもミーナも、いつか必ず結婚をしなければいけないことくらい、わかっていたじゃないか)
目を逸らし続けていた事実。
時折正妃の話が大臣から出ても、エルクは「まだ早いだろう」などと誤魔化していた。
十七にもなれば、早いなどということもないのに。
庭を貫く渡り廊下に、二人の人影を見つけた。
エルクと同じ黒髪の青年と、仏頂面した緑髪の少年。
アデルとライラという奇妙な組み合わせに、エルクは思わず足を止めた。
その時、アデルもエルクに気付き、頬を緩めた。
「エルク様、どうなさいました?」
アデルはその場で深々と一礼すると、渡り廊下からエルクの元へと歩み寄る。
飾り気のない緩やかな笑みに、エルクはひどく安心させられる。
「どうということもないさ。そっちこそ、珍しい組み合わせだな」
何度も言われました、とアデルが苦笑する。
隣のライラは、益々眉間にしわを寄せた。
