金色の師弟


イアンと別れ、エルクはあてもなく一人庭を歩き回る。

イアンとエルク。
ミーナと幼い頃から共に過ごしてきたのに、何がいけなかったのだろうと疑問を抱かずにはいられない。

(あいつは……昔からずっと優しかったな)

穏やかで心優しいミーナとは、同じに優しいイアンの方が似合っている。
わかっていたが、悔しかった。
出来ることなら、このままずっと生きていたかった。

時が経ち、自分達が大人になっていくことをどこかで考えないようにしていた。
王として、国の代表として昔よりは成長したと思っていたのに、エルクはまだ幼い頃のままなのかもしれない。
早くに母を亡くし、アイリスとアデルに本当の家族のように育てられ、甘えていたあの頃と変わっていない気がする。