金色の師弟


「あのなぁ、俺はお前たち程鈍くないんだ。誰が誰に好意を持ってるかなんて、アデルみたいな奴じゃない限りわかるぞ」

アデルのように、本心を悟らせないよう考えて行動している人間の場合はわかりにくいが、イアンやミーナはむしろ逆。
馬鹿が付くほどに正直な人間だ。
だから、見ていればわかる。

「ずっと傍にいたんだからな」

「エルク……」

「ミーナを、大切にしろよ」

そう言うと、エルクはイアンに背を向けて歩きだした。
手合せでは勝ち越したが、一番大事な勝負では負けたな。
そんな言葉が浮かんで、消えた。