椅子に座るとイアンは無垢な笑みを浮かべ、空を見上げた。 最近また新しい兵が入ったこと。 今年は気候が不安定で、作物が例年より育っていないこと。 アデルがルイを気に入っているようで、それが嬉しいといったこと。 イアンは気味が悪い程饒舌に、それらを語った。 「……本当に話したいことは違うだろう?」 エルクがきつくイアンを睨む。 それらの話が、イアンの悩みのわけがない。 睨まれてしまったイアンは肩を竦めると、空を見上げたまま目を閉じた。