料理は苦手だと口にしていた二人だが、あまりに皆が何も言わずに去っていくため、本気で危機感を覚えた。
そして、今、ルイが最も現れてほしくない人物までもが甘い香りに誘われてやってきた。
「っくく……。お前たちの菓子が城内で評判になっているぞ」
「……全く。クッキーで騎士団壊滅などはごめんだ」
厨房の入り口で腕を組み壁に身体を預けながら笑いを堪えるアデルと、片手で頭を抱えてため息を吐くライラ。
「アデルさん……!ライラも……」
アデルとライラ。
珍しい組み合わせに驚いたが、ルイはそれより何よりアデルの登場に焦る。
城内でクッキーが評判になっている。
それは確実に悪い方向に。
そして、それを聞き付けてアデルが厨房にやってきたということは、彼の目的は一つしかない。
