唯一の救いは、作った本人たちがそのクッキーを「不味い」と感じてくれたことだ。
味音痴だとしたら、ミーナには救いようがなかった。
「ミーナ姫の前でこう言うと言い訳のようですが、貴族として育てられるとどうにも家事が覚えられなくて……」
「仕方がないですよ。私も趣味のようなものですから」
ノルンは貴族の娘なのだから、家事が出来なくても不思議はない。
少し、限度を越えているようにも思えるが。
「ノルン、あの籠に入った苺のへた取りをお願いできますか?」
「はい」
ノルンは手にしていた皿を置くと、机の真ん中に置いてあった籠を自分の元へと引き寄せる。
