アデルは、何も答えない。
アデルの表情を確認するにも、一度顔を背けたため向きにくい。
エルクは仕方なく横を向いたまま、ぼそぼそと語る。
「国は違うが……シェーダとメルディは同盟国だ。戦争をしている国同士、なんて女どもが好きそうな悲劇の物語なんかじゃない」
アデルが自分のことを気にしていることは、エルクもよくわかった。
例え国同士が同盟国でも、二人は使える主が違う。
もしもエルクがいなければ、アデルは全てを捨ててでもルイの傍を選ぶだろう。
枷となっているのは、自分自身。
「……メルディに行きたいのなら、行ってくれても構わない」
「エルク様……?」
アデルは目を瞠り、エルクを見つめた。
小さな声だが意志を持った言葉たちが、続けられる。
