はぐらかしたり、かわしたり。
それが上手なのはアデルなりの処世術。
しかし、それが恋愛面でも発揮されているようなら、ルイは相当に振り回されているだろうとエルクは同情する。
いや、確実に発揮されているはずだ。
エルクは根拠もなく確信を抱いた。
だが、アデルは一度心を開いた相手にはどこまでも許す。
その相手のためになら、何も惜しまない。
だから、アデルはエルクから与えられた弓を失ってまでルイを助けたのだ。
詳しい話は聞いていないが、わかる。
何かがあって必要になったのだろう。
「……上手くいくといいな」
さすがのアデルも、この言葉は予想外だったようで、目を丸くしてエルクを見つめた。
沈黙が居たたまれなくなり、エルクはそっぽを向いた。
「まぁ、俺には関係ないが」
柄にもないことを言ってしまった。
そう思ったものの、エルクは発言を撤回したいとは思わなかった。
紛れもない本心を、撤回する必要なんてないのだから。
