アデルが誰かに好意を持ったことは、素直に嬉しい。
ただ、少し淋しいだけだ。
今までは、エルクにのみ向けられていた関心が他にも向けられていることが、淋しい。
そして、自分から離れてしまうのではないかと怖くもある。
だが、アデルがそうしたいと望めば止める気はない。
……止める権利など、エルクにはない。
「俺はな、驚いているんだ」
「は?」
「アデルは本気で好きな女なんていなかっただろ?」
「まぁ……はい」
今までを思い出すように、アデルは視線を上に彷徨わせてから頷いた。
「ルイ……か。あまり話は出来てなかったが、今までお前の周りにいたのとはタイプが違うな」
「それはそうですね」
微笑を浮かべ頷くアデルに、エルクはやはり淋しくなる。
大好きで尊敬している兄が離れていくような感覚だった。
(……いつまでアデルに甘えるつもりなんだ、俺は)
エルクは一人、深々とため息を吐く。
それに気付いたアデルは、首を傾げた。
