(もっと考えるべきことがあるだろうに)
デモンドに対して、自分は何をすべきか。
場合によっては戦争が起きるかもしれない。
そうなったときに、腐敗しかけた貴族たちに自分はどう動くべきか。
しかし実際は、気が付けばルイのことばかり考えている。
アデルは、そんな自分に驚いた。
他人に対しては、淡泊な人間だと思い続けていたのだから。
目は閉じているがはっきりとした意識が、扉を叩く音を聞き取った。
ライラだろうか。
そんなことを思いながら、アデルは扉に声を掛ける。
「開いている」
目は閉じたままに。
扉が開いた気配がし、中に人が入ってくる。
それが誰かまではわからなかったが、アデルは誰でも構わなかった。
