金色の師弟

「イアン様は……」

「え?」

不意に、ルイが顔を上げた。

悲痛に歪むその表情は、自分ではなく他者を思いやり涙を堪えているようだ。

「イアン様は……」

「どうしたんだい?」

「……ミーナ姫、が」

ルイの唇から紡がれた最愛の人の名に、イアンの眉が微かに動いた。

その変化に気付いたルイは、慌てて口を閉じた。

「続けて、ルイ」

「……」

ルイはイアンを窺うように見上げ、観念し口を開く。

「ミーナ姫が政略結婚なさるかもしれないことを……どう、お思いでしょうか」

重々しく吐き出された言葉。

イアン個人にとっては、デモンドや北の大国ドルネアよりも重大な問題であった。

ルイは言葉にしたことに後悔を感じながらも、イアンから目を逸らさずにいた。

目を逸らしてしまったら、それこそただの無礼に思えたのだ。