イアンは、ミーナをどう思っているのだろう。
ルイにはわからなかった。
だが、大切にしているということは知っている。
「山では、少し大変な目に遭ったと聞いたよ。大丈夫だったかい?」
イアンはルイの視線の意味には気付かず、穏やかな笑顔で言葉を続ける。
「はい。アデルさんに助けていただいたので」
「それもエルクから聞いた。彼、随分驚いていてね」
イアンは、状況について語っていたエルクの姿を思い出す。
アデルがルイを助けたという話をするときには、嬉しそうで淋しそうな、複雑な顔をしていた。
思い出して、笑みが零れる。
急に笑うイアンに、ルイは首を傾げた。
「エルクね、お兄さんを取られた弟みたいな顔をしていたよ」
「え……?」
「アデル将軍って、今までエルク以外に執着した人間がいないらしいんだ」
誰も寄せ付けようとしない、孤高の人。
ルイも始めはそう思っていた。
だが、懐に入れた人間に対してはとことん優しい。
