満足気に頷いたイアンは、話を変えるように視線をディンとアデルに戻した。
軽く首を傾げ、ルイへと問い掛ける。
「どっちが勝つかな?」
「もちろん、アデルさんでしょう」
きっぱりと言い放ち、ルイはきらきらとした瞳をアデルへ向けた。
あまりにも迷いなく断言するものだから、イアンは苦笑してしまった。
ルイがアデルに対し絶大な信頼を向けているのは知っている。
だが、ディンはルイの先輩であり隊長なのだ。
もう少しディンに気を遣って上げてもいいのでは、と思ってしまうイアンもやはり、アデルの勝利を予想していた。
「ディンはとても強いと思うけど、アデル将軍のような相手だと相性が悪いよね」
イアンも王子としてそれなりに武才を持ち、稀に騎士たちの訓練に参加し、手合せをすることもある。
だから、二人の戦い方の違い、そしてディンの相性の悪さをよくわかっていた。
