「……あぁ、ノルンやディン、今はシェーダにいる俺の隊の副隊長なんかも俺の家柄は気にしてないな……」
アデルの気持ちが真実だということは、痛いほどわかった。
わかったが、ルイには頷けなかった。
背中にアデルのぬくもりを感じながら、ルイは静かに涙を落とす。
もしもルイの手の中に何もなければ、何も考えずに頷いていただろう。
自分の気持ちを、正直に伝えられただろう。
(アデルさんが……私を、好き……)
嬉しかった。
ルイも同じ気持ちなのだから。
でも、その気持ちを伝えてはいけない。
正直に伝えてしまえば、きっとアデルを傷付ける。
(でも、私たちは国が違う……)
隣合っていても、同盟国でも、所詮二人は他国民。
国が違えば、些細なことで離れ離れになるかもしれない。
ましてやアデルは貴族でルイは平民。
ノルンが許婚であろうとなかろうと、アデルに合うのは彼女のような家柄の高い女性なのだ。
(……そんなこと言ったら、またバカって笑われるだろうなぁ)
ずっとアデルを見てきたのだ。
それくらいわかる。
