どこか寂しげなアデルの呟きに引き寄せられるように、ルイは顔を上げた。
首だけでアデルを振り返ったが、彼はルイに頭を預けているため表情は窺えない。
「俺はずっと独りだった。天才だ、なんて言われて周囲と線引されてな」
初めて耳にするアデルの本音に、ルイは目を丸くした。
アデルは、甘える子供のようにルイへとしがみ付く。
「エルク様と親しかったということもあり、周りからはよく妬まれた。だがな、別にそんなことはどうでもいい。他人の嫉みなんか気にしていたら、何にも出来なくなっちまうからな」
「はい……」
「独りだけど、エルク様がいたから。守るべき主君がいてくれたから、不満はなかった。それは、本当に幸せなことなんだと思う」
「……はい」
尽くすべき尊敬出来る主君がいるということ。
それは、紛れもなく幸せなことなのだ。
