「お前が落ちた時、頭が真っ白になった」
「アデルさん……?」
独り言のように、アデルは言った。
「怖かった、お前を失うことが怖くて堪らなかったんだ……」
ルイに触れるアデルの身体は、無機物のように冷たかった。
それだけの間、アデルは雨に打たれていたのだ。
他の誰でもない。
ルイを探すために。
「どうして……?」
「ん?」
ルイは、尋ねずにはいられない。
「どうして、私なんかにそこまで……」
アデルがどうして自分を好いているのかが、わからない。
ルイより美しい女性も、優しい女性も、強い女性も、この世の中にはたくさんいる。
その中には、ルイよりずっとアデルの相手として相応しい人間がいるはずだ。
アデルはルイの肩に頭を乗せたまま、目を閉じた。
