金色の師弟


若き王の優しさは一般の兵たちにも及び、その優しさに触れた者は誰もが王に敬意を抱く。

ルイもそんな兵の一人であった。

「ルイ、君はこの半年で見違えるほどに成長したね」

「有り難きお言葉です。それも全て、アデルさんのご指導があってのことです」

イアンは、嬉しそうに頭を下げたルイに、目元を緩めた。

「ですが、私はまだまだ未熟者。イアン様の近衛兵として恥じないよう、日々鍛練を積み重ねてゆきます」

敬愛する主君のために。

ルイの持つ力への渇望は、底無しの沼のようであった。

限界を決めずに進むことの出来る真っ直ぐさを、イアンは好ましく思う。
同時に、自分のために無理をするのではないかと不安になった。

「ルイ。その心がけは素晴らしいけど、僕のために命を犠牲にしてはいけないよ」

「イアン様……しかし……」

「これは命令だ。返事は?」

目を逸らしたルイに、イアンはきつい口調で追い打ちを掛けた。

ルイは頷かざるをえなくなり、ゆっくりと首を縦に振った。