アデルが好きだ。
仕える主が違っても、婚約者がいても構わなかった。
女癖が悪かろうと、少々意地の悪い一面があろうと、嫌いになる理由にはならなかった。
そんなことは気にならない程に、アデルに惹かれていた。
構わない程に、アデルの良さをルイは知っていた。
上辺の美しい容姿や高い家柄などではない。
誇り高い忠誠と、揺るがない信念。
内に秘められた静かに燃える情熱を、知っていた。
優しさに、触れていた。
報われなくてもいい。
傍にいたかった。
実際に報われることはないとわかっていた。
ルイはメルディ王国のイアンの下で。
アデルはシェーダ王国のエルクの下で。
この国境線は、交わることはない。
それなのに、アデルはルイを好きだと言う。
ルイは胸が締め付けられる思いだった。
このまま頷いて、手を取ってしまいたい。
そんな誘惑に駆られる。
だが……出来ない。
