大切な人が賊と向かい合っているのに。
大切な居場所が脅かされそうだというのに。
出来た事は、ひたすらに嘘を重ねるだけ。
「……院長先生は、どうなった?」
問い掛けるアデルの声が、どこか震えていた。
ルイは俯いたまま首を振る。
長い金髪の隙間から、細い首筋が顔を覗かせた。
「殺され、ました」
ルイは、頭に何かが触れるのを感じた。
視線を上げて確認する。
それは、アデルの頭だった。
苦しそうに眉をしかめたアデルが、ルイの頭に額を押し当てていた。
まるで、そうすることでルイの苦しみを吸い取ろうとするかのように。
「それからまもなく……討伐隊が、来ました」
その山賊たちは、前々から近隣の村で略奪を働いていたらしい。
孤児院が襲われる以前に、すでに王都へと話は伝わっていた。
