ルイが転がり落ちた地点から真っ直ぐに歩き、途中で崖下に降りるための木を探して少しだけ道を外れた。
ルイが落ちたとしたら、アデルがいる地点を中心に探していくのがいい。
十歩進むごとにアデルは手近な木に短刀で傷を付けながら進む。
どこを探したかがわかるようにするためだ。
「ルイ!聞こえたら返事をしろ!!」
雨音に掻き消されるような弱々しい声ではない。
それだけ彼は必死なのだ。
声が枯れても構わない。
ルイを見つけるためなら、自分を犠牲にしてもいい。
それだけの気持ちが、今のアデルにはあった。
「ルイーっ!!」
しかし、アデルが懸命に叫んだところで、雨音以外な物音一つしないのだった。
