金色の師弟


アデルはすぐに足元の枝を掴み下の枝へと移る。

途中何度か足を滑らせたが、アデルは比較的スムーズに木を降りていった。

高飛びに使った弓は崖の上に突き刺さったまま。

アデルは薄暗い雨の中、影となっている自分の弓を見上げた。

「……」

アデルには弓が二本ある。

一本が今突き刺さっているもので、アデルが弓騎士として叙勲されたときから使っている弓だ。

長年使い続けた愛用品で、失うには惜しい。

「勢いは怖いな……」

惜しいが、アデルは不思議と後悔はしていない。

弓よりも、ルイの安否のほうが心配だった。

アデルは弓から意識を外すと、目的である金色の少女を探すために辺りを見渡した。

「弓兵の視力を舐めるなよ」

一人呟き、険しい顔でアデルは歩く。

激しい雨に体温を奪われようとも、足元を取られようとも、足が止まることはない。

ルイを見つけることだけがアデルを動かしていた。