敬愛と恋慕。
エルクとルイ。
そこに、優劣などない。
「ルイ!!」
声を張り上げ、アデルは進む。
すると、斜面は突然ぱっくりと裂けた崖になっていた。
アデルの背筋が凍り付く。
すぐにアデルは地面に這いつくばるような形で下を覗き込んだ。
落ちて即死するような高さではないが、確実に骨は折れそうだ。
流れる冷や汗も、雨と混じりもうわからない。
アデルの焦りは、理不尽にも流されてしまう。
「ルイ……」
アデルは立ち上がり、辺りを見渡す。
下に降りるために手ごろな木を探している。
雨で濡れた木肌を伝って降りるということは、少しでも気を抜けば簡単に木から転落するということだ。
だが、アデルは躊躇わなかった。
枝が太く巨大な木を見付け、アデルはすぐに駆け寄った。
崖と木の間には、少し間がある。
平時なら飛び移るに支障はない。
だが、足元はぬかるみアデルの足を奪う。
