アデルは、しばらく沈黙する。
その間を拒絶と判断し、流石に少女は泣きそうな顔で頭を下げた。
「す、すみません!私のような一兵士がアデル将軍に教えを請うなど……」
「構わん。弓を取れ」
「え……?」
少女は恐る恐る顔を上げる。
不意打ちだったアデルの言葉が信じられなかったのだ。
見上げたアデルは、不敵な笑みを浮かべながらも、どこか晴れ晴れとた表情で言った。
「構わない、と言ったんだ。あんまりノロノロしてるとこの言葉、撤回するぞ」
「え、あ、はい!」
そこで初めて、少女は心からの笑みを見せた。
まるで、花が咲くような鮮やかさで。
「俺を抜かすくらいの気持ちでやれよ?」
「はい!もちろんです」
即答されて、アデルは面食らう。
頷かれたのは初めてだった。
「それと、将軍はやめろ。俺は将軍なんかじゃない」
「では……アデル師匠?」
それもどこか壁を感じて嫌だった。
「却下」
「じゃあ……」
少女は少し躊躇いがちに、ぼそぼそと口を動かした。
「アデル、さん」
「……それがいいな」
再び少女は笑う。
照れ臭そうにはにかみながら。
