ディンはメルディ王国の近衛兵の一人であり、元は傭兵から大出世を遂げた人物である。
アデルとは同じ年で、ディンが傭兵として雇われたのも、アデルが弓騎士として叙勲されたのもほぼ同時期なため、何度も任務を共にしている。
力強い剣撃に、屈強な身体。
先陣を切って敵へと立ち向かう彼の背中は、メルディの兵達を奮い立たせる。
ディンが出陣するだけでその戦いの士気は著しく跳ね上がるのだ。
「今日中に発つのだろう?貴様はそのうちと言いはぐらかし続けた!今日は逃がさんぞ!」
剣を使うディンと弓を使うアデル。
真っ直ぐで力強いディンの戦い方を炎のようと例えるのなら、相手を惑わしトリッキーに戦うアデルは川のようであった。
川の流れを全て把握することは不可能であり、時に反乱し濁流で周囲を呑み込む。
炎は川の水に飲まれ、消える。だが、燃えた跡は残る。
ディンはアデルに負け越しているため、尚更に闘志を燃やすのであった。
