だが、頼まれればアデルも応える。
目の前の少女も、今までの者たちと変わらず、少し教えてやれば満足するだろう。
勝手にアデルはそう思い込んだ。
アデルは簡潔に、そしてわかりやすく少女の射の注意点を述べていった。
明るい空色の瞳は、一瞬たりともアデルから逸らされない。
「……と、まぁ俺が言えるのはここまでだな」
「ありがとうございます!」
元気よく頭を下げた少女に、アデルは苦笑した。
この先、少女の腕が上達しようがしまいが、そこまでは興味なかった。
アドバイスをしたのだから、少しくらいはよくなればいい程度の思い。
「あの、アデル将軍……。少しよろしいでしょうか?」
「ん?」
少女は何かを決心した様子で、アデルを見上げた。
先程より声も小さく、視線も弱い。
少女は緊張していた。
それは、見ているアデルにもはっきりと伝わる。
「私に、弓を教えていただけないでしょうか?」
今まで、何度も言われてきた言葉に、アデルは小さく息を吐いた。
またか、という呆れ。
そして、どうせすぐ諦めるだろう、という失望。
……そして、アデル本人も気付かぬほどに微かな、もしかしたらという期待。
