弦を絞る右手は震え、狙いもブレている。
しかし、真っ直ぐに伸びた背筋は美しい。
アデルは思わず、感嘆の息を洩らした。
それでもやはり、全身に余計な力が入りすぎている。
肩は詰まっているし、弓全体もガタガタと震えていた。
荒削りな射形。
弓兵の弓ではなく、これでは狩人の弓である。
少女が弦を離す。
「あ!」
矢を放つ瞬間、弓を押す左手が大きく下へぶれた。
下方へ押し出す形となり、矢は地面で跳ね返り木へと刺さる。
少女は落ち込みを露わにし、肩を落とした。
「力が入り過ぎだ」
「え!?」
アデルは落ち込む少女の背後に立ち、耳元で囁いた。
「えっ……あ、あ!?」
誰もいなかった空間はずに、いきなり現われたアデル。
驚かずにはいられない。
少女は勢い良く振り返り、真っ赤な顔で頭を下げた。
「何故頭を下げる?」
「いえ……その、反射的に」
その答えに、アデルは小さく吹き出した。
