金色の師弟


他愛もない会話を繰り返し、穏やかな食事の時間を過ごす二人。
周囲の騎士たちも、雑談混じりに食事をしていた。

ふいに、雑談の中に困惑の騒めきが広まった。

「……?」

笑顔を浮かべ話をしていたルイが、ふと口を開けたままアデルの肩の先で目線を止めた。

アデルが不審がり、ほとんど空になった皿から顔を上げたと同時に、よく響く声が空気を震わせた。

「アデル!貴様、今日こそは勝負してもらうぞ!!」

無駄に大きく張りのある声。

アデルは端整な顔を歪め、深くため息を吐く。
そして、意を決して嫌々ながらに背後を振り返った。

「……ディン」

燃える炎を連想させる赤髪とブラウンの瞳。
その赤髪はまるで獅子たてがみのようだった。

胸と肩を覆う鎧はルイやカトルと同じく、白の光沢を放っている。

鎧の下に着ている服は、騎士というよりは傭兵に近い、質素で動きやすいものであった。
足首で革の靴の中にしまわれているズボンは淡い茶色で、装飾の少ない身軽な長袖の上着は暗い赤色をしている。

服装までもが暖色で包まれた、炎に劣らない熱い心をつ青年である。


自称、アデルの好敵手。