何かをするために、ライラが隊員を逃がしている。
だからアデルは、ライラの身を守るためその場に留まった。
片手には、短剣。
隣では、ルイも弓を構えていた。
「アデルもルイも逃げていい」
「馬鹿言え。隊長は全員の無事を確認してから逃げるものだ」
「ライラを置いていけません」
「……まぁいい。僕のやり方を見せる」
走りだした隊員に呆気に取られ、賊は一瞬どう動くか躊躇った。
その隙が、ライラには十分過ぎる程の時間となった。
ライラはマントを翻す。
雨をしのぐためと思われていたマントの内側には、数多くのポケットがあり、試験官やら薬品が用意されていた。
