金色の師弟


防戦一方に甘んじていたのは、ある程度賊を引き寄せるためでもあった。

デモンドの疑惑を明らかにするためにも、確実に何名かを連れ帰り尋問をしなければならない。

押されていたことで抑圧されていた兵たちに、活気がみなぎる。

森へと牽制に矢を放っていた弓兵たちは、それぞれアデルとルイが狙う、最も先頭の賊へと狙いを付けた。

矢尻の先に、ライラの用意した痺れ毒がたっぷりと塗られた。

雨で多少は流されるかもしれないが、そこは物量でカバーする。

「放て!」

ライラが右手を振り上げた。

それを合図に数いる山賊のうち、僅か二名に矢の風が駆け抜ける。

両者に致命傷はないものの、多くの矢がその肌を掠めていった。

「か、体が……!?」

「動かね、え……」

痺れ薬が効き、動きが鈍くなった賊に、縄を手にした歩兵隊が詰め寄る。

そして予め輪を作っておいた簡易式の捕縛縄を頭から賊の胴体まで通す。