金色の師弟


正面に矢を放ったら、すかさず背後を確認し、迫ってくる賊に狙いを付ける。

すでにアデルの矢は五人の山賊を射ぬいていた。

だが、賊の包囲網は確実に狭まるばかりであった。

「ちっ……」

正面から迫る賊を狙い放った矢が、賊の足に刺さった。

数が少なくなっているのなら、生け捕りのために意味はあったかもしれないが、圧倒的不利なこの状況では仕留められない一射に意味はない。

一時は賊もアデルの悪条件での精密射撃に尻込みする姿を見せていたが、アデル以外の兵はただ矢を射っているだけと気付くと再び攻めに回りだした。

そして賊は、アデルへと引き寄せられるように向かっていく。

アデルを倒せば隊は崩れる。

それに気付いた。