金色の師弟


「アデル隊長!」

黒髪の少年が駆け寄る。

弓兵に紛れて後衛部隊に参加していたルークだ。

彼は元々森の中で暮らしていた。

そのため、生き物の気配を察する力だけなら、アデルを遥かに上回る。

「囲まれています!」

「……!迎撃準備、急げ!」

ルークの言葉を受け、アデルはすかさず声を張り上げた。

すでに矢をつがえている者もいる。

「周囲の森に身を潜めています!数は十以上っ」

敵の数にルークの声が上ずった。

アデルは力強い笑みを浮かべまだ小さな頭を軽く撫でると、よく通る声で指示を飛ばした。

それは、獅子の咆哮を連想させる。

「森へと矢を放て!炙り出すぞ!」

「おぉ!!」

アデルの勢いに、隊員たちの士気も上昇する。

弓兵部隊の矢が、雨のように森の中へと降り注ぐ。

予想以上に反応が速かったのだろう。

森の中から驚きの混じった声が聞こえる。

ルークの言葉の通り、十を越える賊が部隊を囲むように木々の間に隠れている。

悪天候の視界でも、人影が確認できた。

「木が邪魔で思うように届かない……!」

ルイは唇を噛む。

森の中に隠れる山賊がちらほら見え始めたが、彼らは木に隠れるため中々矢が当たらない。

弓兵部隊の量重視の攻撃の中、アデルは一人森の中に隠れる賊たちに狙いを絞る。