もしも二人の推測が事実なら。
そう考えるだけで、ルイは背筋が凍り付いた。
たった一つ、婚姻を結ぶ。
それだけのために、たくさんの命を犠牲にするデモンドの王弟は、正気の沙汰とは思えない。
上に立つものにはあるまじき自分勝手な振る舞いに、ルイの中で憤りがふつふつと沸き上がってくる。
納得が、出来ない。
しかし……。
ルイは、気付かれぬようにアデルを盗み見た。
この状況でも全員を生かそうと頭を回転させるアデルの横顔。
王弟がもしもミーナに恋をしているのなら。
納得は出来ないが、その気持ちを理解は出来た。
