金色の師弟


次第に雨足は強まり、進軍することは不可能となった。

留まる、と判断したアデルは正しかったのかもしれない。

ルイは後方からアデルとライラの元へと移動する。

こうなってしまえば、どこにいても同じだった。

「最悪の状況ですね」

「あぁ。だが、天候の不利は相手にも同じこと」

「ライラの言う通りだ。それに、もしも賊がデモンドの差し金なら、確実に俺たちを狙いに来るはず」

デモンド王国も軍備は進んでいる。

もしもメルディやシェーダの部隊がたかが賊にやられたとなれば、デモンドにとってはオネストに恩を売る隙となりえる。

二国の倒せなかった賊を簡単に討伐するデモンド。

今度はその軍事力を交渉に用いるだろう。

淡々と告げられたアデルの推測に、ルイは絶句した。

「倒せるのは当たり前だ。自分達が用意した山賊なんだから」

呆れた様子のライラに、アデルも頷いた。