金色の師弟


「中々婚姻を結ばない王女に痺れを切らして、何か策を考え付いた。その策の中に、この山賊の一件が含まれている」

「待ってください、ライラ。私には、デモンドが焦る理由がわかりません……」

淡々と自身の推測を語るライラを、悲痛そうな声を上げてミーナが止める。

自分のせいで大勢を巻き込んでいるかもしれない。

その事実に、胸を痛めているのだ。

「……もしかしたら、王弟は本気でミーナに恋をしているかもしれないぞ」

「え……?」

ミーナの隣で、エルクは言った。

彼は震えるミーナの瞳を覗き込み、そっと膝の上で組まれた手の上に自分の手を重ねる。

「オネストの生産力も確かに魅力だが、ミーナ自身にも魅力を感じているのかもしれない……」

真っ直ぐなエルクの視線からミーナは目を逸らす。

ただ一言、「困ります……」とだけ零して。