金色の師弟


ライラは眉間のしわを深め、一本の山道を睨む。

「どうして山賊は近隣の村を襲う?もし僕が賊なら、この道を通る国家間の交易品や金を狙う」

ライラの指摘に、一同ははっと息を呑む。

村人の僅かな貯えよりも、交易品を狙ったほうが儲けは大きいはず。

山賊行為を行えば、被害の大小に関わらず討伐隊がやってくるのだ。

ならば、より高いものを奪えたほうがいいだろう。


しかも、この山賊はオネストだけでなくデモンドにも手を出したという話だ。

それはつまり、オネストとデモンド両国への敵対行為となる。

ならば、交易品を盗み二国を敵に回すのもまた、同じことのはず。

じっと地図と睨み合っていたアデルの口が、小さく動いた。

「より早く賊の情報を知らせたかったから……?」

「……!」

アデルの呟きに、ライラだけが目を丸くし彼を見た。
他の者は、言葉の意味を掴めていない様子である。