金色の師弟


「それを言うために、追い掛けてきてくれたのですか?」

アデルからのアドバイスはルイとしては有り難いのだが、そう急ぐ話でもないはずだ。

ルイの問い掛けに、アデルは少々困った様子で口元を手で隠した。

「いや、その……な」

歯切れの悪いアデルが珍しくて、ルイは不安げに首を傾げる。

アデルは口元に置いた手を腰へと移すと、一度一人で頷いてルイと目を合わせた。

「ライラとは……仲がいいのか?」

「え?えぇ、はい……」

予想外の質問であったため、ルイはきょとんとしながら頷いた。

そうか、と頷くとアデルはもう満足した様子で、微笑を浮かべていた。

「……え?それだけですか?」

「何だ?問題があるのか?」

「別にありませんけど……」

いまいち腑に落ちない。

ルイは眉をしかめて、アデルを見上げる。

アデルの質問の意味がわからず頭を悩ませていたルイの肩を、アデルが掴む。

「そろそろ戻るぞ。出発は今日なんだ。遅れたら笑えないだろう」

「あ、はい!」

ルイは急いで木の枝に掛けてあった衣服を取りに戻る。

そして、ルイを待っていたアデルの元へと駆けていった。