ルイは泳げないわけではなかった。 だが、足が付くと思っていたのに付かなかったことで、ルイはパニックに陥ってしまった。 何かを掴もうと手を伸ばすが、水はルイを嘲笑うかのように手を擦り抜けていく。 (どうすれば……!?) 泳いで浅い部分まで移動すればいいだけの話だ。 しかし、頭が真っ白になってしまったルイは、泳ぎ方さえ忘れてしまった。 水が容赦なく口内へと侵入する。 「た、助けて!」 水を吐き出しながら、ルイは叫んだ。 誰もいるわけないと思いながら、声を上げる。