「ぇ、マジで?何か悪いな…。」

「いやいや!私がかってにしたことだし!!むしろ攻められてもおかしくないあよ!?」

「うん、まぁ、急ぎじゃねぇから焦らなくいいからな。」

そう言って座り直す。少し温くなった残りの麦茶を飲み干してふと思い出したかのように、

「そーいや自己紹介がまだだったな。これから何かと関わりが増えるだろうから覚えて貰えると助かる。」

そう言ってまた立ち上がってジャケットの内ポケットをまさぐる。

「あったあった。はい、これ名刺。何か俺が居ないとき困った事があったらそこに連絡しろ。どの回線からでもただで繋がるから。」

名刺には会社名と言うのか組織名と言うのかとそのしたに、
「染井 ひろや?」

「あー、違う違う。浩也って書いてこうやって読むんだよ。」

「あっそうなんだ。ごめんね。」

「いや、別にいい。皆けっこう間違えるし。気を取り直してって言うと変だけど、お前の名前は?」

「私は三村 春香。春の香りって書いてはるかです。」

「春香、か。改めてよろしくな。さて自己紹介も終えた事だし一丁頼まれた仕事を片付けに行くか。」

「ハイッ!!頑張ります!!」

「いやいや、お前は頑張る必要ないぞ。それに護衛するヤツ居るのにそんな仕事頼まねぇだろ。」

「それもそうだね。ちょっと興奮してるから変なこと言っちゃったよ~」

そうやって笑いあったのがつい30分前。
指定の場所に着いたらこの現状の原因の影とやらがそれはそれは手厚くもてなしてくれた。