ペーパースカイ【完結】

一哉は本当にいいヤツだから、一所懸命、私を慰めようとする(と思う)。

そうしたら私は泣いてしまうかもしれない。

それも怖い。

甘えてしまいそうで、怖い。

『怖いは恋の始まりよ』

と歌っていた黒人女性のジャズシンガー。

そういえば、あれは、誰だったっけ?

…なんて。

どうでもいいような事だけ考えながら、二階の狭いベランダで洗濯物を干していたら

「おぉーーーーーーーい!!輪~~子~~ちーーーーーーーーん!!!」

二十二歳のくせに、遠足に行く途中の小学生みたいな苺が、

肩から水筒をぶら下げて、私を見上げて両手を振っていた。

「苺……!?」

そして、保護者にしてはこれまた若すぎるお父さん…と思ったら…!

「えっ!!」

あれは…一哉!!?

彼は苺の後を追って、リュックを片手に持ちながら、ゆっくりと歩いて来た。

「なんで!!??」

そして、思わず大声を出した私を見上げ、困ったように笑った。