「だけど…つきあい始めたら、どんどんうまく行かなくなったんだ」

「どうして?」

「…お互いに、それぞれの男友達とか女友達に嫉妬したり、ちょっとした事で

喧嘩が絶えなくなった。

『つきあう前の方が、楽しかった。つきあわなければよかった』って言われて…

それからはもう、ずっと話さなくなったし、どっちもメールとかしなくなって、

そのまま終わったんだ」

「…ふぅん…」

見上げると空は、凍りついたようにきれいな青色だった。

無数の針に刺されたように、目が痛い。目を閉じた。

まぶたが痛い。耳も鼻も口も喉も胸も。

全部。

全部が痛い。

でも。

「さっき…泣いてたね、元カノ。あれは、どうして?」

聞くしかないよね。聞きたくないけど。

「…また、つきあいたいって言われたんだ。

誰かから、俺が相川さんとつきあいだしたって事を聞いて、やっぱり

そばにいてほしいって…」

「へぇ…」

勝手、だね。

すっごく身勝手だよね。そんなのって。