やだよ、有希。

あんたの声まるで、安っぽい女優みたいじゃん。

私が昨夜出した声も、きっとこんなふうに筒抜けで、マヌケだったんだろうね。

……バカみたい。

八代君が部屋を出て行ったあと、私はアツシ君を拒んで、急いで服を着た。

「マジで帰っちゃうの~?んじゃーまた遊びに来てね~」

あっさりとそう言って、アツシ君はまた布団にもぐった。

外に出て、バッグの中から携帯を取り出し電源を入れてみると、家から二回、

苺から三回、陽司からは六回も、着信があった。

あまりにも、朝陽がまぶしい。

目に、突き刺さるようだ。

見知らぬ街の、見知らぬ道々。

光の渦に吐き気がしてきた。

(私…なにしてるんだろう…?)

私は泣きながら目をこすりながら、S駅へと向かう道を急いだ。