「そういうもんかなぁー」

「苺はね、自分が素直だからわかんないのよ」

「輪子は、わかるの?」

「わかるよ。私も憧子みたいに、お母さんに接してた時期あるから」

「そうだったな。お父さんに対してもそうだったよな輪子は」

苺子を抱き上げ揺すりながら、輪子パパがからかうように言うと

「そうそう」と輪子が笑った。

「そういうものよ。ほとんどの子供は誰でも通る道じゃないかな」

「ふーん…」

構ってほしいな。こっち向いてほしいな。

そばにいたいな。喜ばせたいな。笑ってほしいな。

そういう気持ちって、恋愛感情にやっぱり似てるところがある。

「なんかあたし、憧子に対して報われない片思いしてる気分だよ」

さっき思ったことを口に出したら、三人が一斉に笑った。

切ないなぁ、お母さんって。