小さくて丸くて柔らかい、ピカピカの命。

苺によく似た天然カール、長いまつげの憧子。

私達みんな、こうやって生まれてきたんだね。

苺は、生まれて間もない頃の憧子に、この世で初めてのキスをしていた。

私達みんな、こうやって愛されてきたんだね。

お母さんも私の頬に、キスしてくれたよね?きっと。


「輪子ちんとぉ~一哉君もぉ~早く結婚して子供作ればいいのにぃ~ねぇー?

憧子ちん♪」

憧子のオムツをかえながら、歌うように苺が言う。

横を見ると一哉の耳が、真っ赤になっている。

つき合い出してもう半年以上も経つのに、この反応…。

でも、一哉のこういうとこが一番好きなんだ。

内緒だけどね。

「まだいいよ。憧子がいるだけで満たされてるもん私。ねー憧子~」

柔らかい粉のような、なめらかでいとしい憧子のほっぺを撫でながら答える私。

「ねぇねぇ。今日の晩ご飯、何にしよっか?」

「ん~…輪子パパは何時頃帰ってくるかなぁ?」

「今日はわりと早いと思うけど…一哉は?ご飯、食べてくでしょ?」

「うん」

昔みたいに。ううん、それ以上に。

私達の家、騒がしくって明るくなったよ、お母さん。