「あたしね、…妊娠してるんだって」

「はぁっ!?」

幸太の顔が、歪む。

「そんでね、生みたいから、あたしと結婚して」

「…マジかよ……」

ナマでやった事、一度もねえじゃん……

幸太はつぶやいた。

「俺、作ったおぼえないんだけど。…てか、それって堕ろせねーの?」

『…俺とか、俺との約束は?大事じゃねーの?』

そう言った、あの日と同じこの声で、こんなに悲しい言葉を聞く。

「…も、いいや。幸太」

「なにが…?」

「も、帰って。今の嘘だから。もう、いい。帰って」

「なんだよ、それ」

それでも、動かない幸太。

「だから…もう、…もう、顔見たくないから。帰って」

そう言ったらやっと立ち上がり、黙って外へ出て行った。