そんなまた大げさな、と思いかけて視線を上げる。



そこにはにこやかな笑みをたたえた少女が金髪少年二人の背後に立っていた。


顔は笑っている。
溢れんばかりの笑顔だ。


でも雰囲気がものすごくまがまがしい。
しかも右手には木刀ときた。


まるで「やっと獲物を見つけた」と言わんばかりの鬼だ。


木刀を金棒に変えれば立派な鬼だ。


やばい、こいつはやばい。


俺にも被害が及びそうだ。

というか、命の危機が迫ってる。


謝らなければどうなるかわかってるよね?

そんな台詞がとても似合っている姿だ。


わかりました、俺は命の為に勇気を振り絞ります!



「お、俺実はものすごく怒ってるんですよ。だから土下座して謝ってください」


思い切ってそう言うと、風太さんリックさん二人は待ってましたとばかりに頭を床に擦り付けた。


「ほんとにすみませんした!!」


全力の謝罪に少女は満足したようで、俺に視線を移した。


ひぇ!こっち見ないで!


「少年には迷惑かけたな。お詫びをしたいんだが、なにかあるか?」


「い、いりません」

「そうかそうか。あたし達と仲間になりたいのか。しょうがない特別だぞ?」


この人話聞いてねぇ!
でも断る勇気も体力もないし。


「あたしは藤沢茜(ふじさわあかね)。少年は?」



「……山村瑛士(やまむらえいじ)です」



「よろしくな」


そう言って微笑む茜さんを最後に、俺は気づいたら自分の部屋で寝ていたのだった。