「……駿河は就職するんだったよな?」 「……はい。」 「本当にそれで良いのか?」 淡島さんと進路についてはあの日に語ったが、私が進学したいという動機はダメなものだ。 ただあの家に少しも帰りたくないから。 淡島さんと話したいから。 こんな勝手な理由が許されるわけがない。 コップを落として呆れられてしまったし。 だから、 「は「進学させます。」 ――そう言ってくれたのは淡島さんだった。